機能は説明できる。でも、選ばれる理由が顧客の言葉になっていない。
このページでは、提供価値が伝わらない状態について、どこで翻訳が切れているのかを整理します。
製品もサービスも完成している。機能説明の資料もある。社内で訴求のシナリオを検討したこともある。
それでも、競合が同じような機能を並べる市場で、なぜ自社を選ぶべきかを一言で言えない。提案は現場の担当者には響いても、決裁の場で止まります。
該当の確認
- 機能の説明はできるが、他社と何が違うかを一文で言えない
- 提案資料が、機能の一覧になっている
- 誰に売るべきかが、社内で共有されていない
- 現場の担当者には響くが、決裁者のところで止まる
- 社内で訴求のシナリオを作ったが、良いのか悪いのか判断できない
詰まりの構造
この状態が起きているとき、問題は表現の技術だけではありません。大きな詰まりの一つは、自社の言葉を、届ける相手の言葉に翻訳する工程が、途中で切れていることです。
翻訳先は一つではなく、三つあります。
どこで切れているかによって、必要な作業が違います。
開発の言葉が、現場の課題の言葉になっていない
機能説明の資料は存在します。刺さらないだけです。
これは資料の見せ方の問題ではなく、顧客のペインが構造化されていないことから来ています。誰の、どの場面の、どの判断が困っているのか。それが整理されていなければ、機能を並べる以外の書き方ができません。
売り手の視点で機能を並べたメニューはある。買い手の課題を起点に組み直されていない、という状態です。
現場の課題の言葉が、決裁者の投資の言葉になっていない
現場の担当者が納得しても、決裁の場では別の言語が要求されます。何にいくらかけて、何が返ってくるのか。
現場向けの説明と決裁者向けの説明を、同じ資料で兼ねようとすると、どちらにも届きにくくなります。 前者は業務が楽になることを、後者は投資が回収されることを聞いています。
自社の言葉が、売る人の言葉になっていない
代理店やパートナー経由で売る場合、翻訳先はもう一段増えます。
自社の営業なら文脈を補って話せますが、パートナーは資料に書かれていることしか言えません。誰がどう売るかまで設計されていなければ、価値が定義されていても現場では再現されません。
機能比較の軸では、差別化が見えない
この三つの翻訳とは別に、もう一つ詰まるところがあります。
同種のサービスが並ぶ市場では、機能を並べた比較だけでは差が出ません。項目ごとに要件を満たしていることは示せても、「なぜ他社ではなく自社なのか」は一覧の中には現れません。
ここでも、自社が説明している価値と、顧客が選ぶ理由のあいだに断絶が残ります。
そして、この断絶は自社では見つけにくい
ここが構造的な難しさです。
機能を作った人は、その機能の価値を知っています。だから「なぜこれが良いか」を説明できてしまう。説明できるがゆえに、それが顧客の言葉になっていないことに気づきにくくなります。
社内で訴求のシナリオを検討したのに判断がつかない、という状態は、能力の問題ではなくこの構造から生じます。同じ前提を共有している人だけでは、前提の外側が見えません。そのため、社内だけで検討を重ねても、前提そのものが検討の対象になりにくいことがあります。
認識の転換
資料のデザインを整える
構成が機能一覧のままなら、きれいな機能一覧になる
事例を増やす
誰のどの課題に効くのかの軸がなければ、事例は並ぶだけになる
機能を追加する
同質化した市場では、機能追加だけでは差別化になりにくい
必要なのは、表現を良くすることではありません。
誰に売るのかを決め、その人のペインを構造化し、そこから提供価値を組み直すこと。 そして、決裁者向けと売る人向けに、それぞれ翻訳し直すことです。
Latentが引き受けること
誰に売るのか(ターゲットセグメント)を定義し、なぜそこかを説明できる形にする
業界別・企業別のペインを構造化し、提供価値と接続する
サービスメニューを、顧客の課題起点で組み直す
機能説明を、顧客の課題解決の言葉に翻訳する
投資対効果を、決裁者が判断できる形に整理する
提案ストーリーを構築し、個社別に展開できる型にする
社内で作られた訴求シナリオを、外部の視点でレビューして再構成する
代理店・パートナー経由の場合、チャネル設計とパートナー評価の指標を設計する
引き受けないこと
- クリエイティブの制作(デザイン、広告表現、コピーライティング)は行いません。 制作へ渡すクリエイティブブリーフまでを担います
- 大規模な定量調査の実査は行いません。 デスクリサーチと、インタビューの設計・実施までを担います
進め方の一例
顧客のペインの構造化
誰の、どの場面の、どの判断が困っているのかを整理します。既存の資料と、顧客・営業へのヒアリングから始めます
提供価値の言語化と差別化軸の設定
競合と並んだときに何が違うのかを、機能以外の次元で定義します
決裁者向けへの翻訳
投資対効果を、決裁の場で使える形に整理します
売る人が使える形への落とし込み
個社別提案の型、パートナー向け資料、クリエイティブブリーフまで作成します
すでに社内で検討済みのものがあれば、そのレビューから始めることもできます。
到達する状態
- 「なぜ他社ではなく自社なのか」に一文で答えられる
- ターゲットが定義され、その理由を社内で説明できる
- サービスメニューが、顧客の課題起点で構成されている
- 提案資料が、機能説明ではなく課題解決の構成になっている
- 投資対効果が、決裁者の言葉で書かれている
- 個社別提案が、毎回ゼロからではなく型から作れる
社内共有のための素材
この状態を社内で共有し、どこで翻訳が切れているかを検討するための整理シートです。
- 開発の言葉が、現場の課題の言葉になっていない
- 現場の課題の言葉が、決裁者の投資の言葉になっていない
- 自社の言葉が、売る人の言葉になっていない
- 機能比較の軸では、差別化が見えない
- そして、この断絶は自社では見つけにくい
このページのURLを、そのまま社内で共有できます。
できる根拠
構造化する
顧客のペインを、誰の・どの場面の・どの判断かに分解する
決められる形にする
誰に売るか、何を差別化軸にするかを、社内で決められる材料にする
実行できる形にする
提案の型、決裁者向け資料、パートナー向け資料まで落とす
壁打ちへの導線
まずは状況を整理するところから
- 課題や依頼内容、予算や開始時期がまだ決まっていなくても構いません
- 初回で行うこと:現在の状況を伺い、どこから整理するかを一緒に確認します
- どのSituationが近いか分からなくても構いません
自社の訴求が良いのか悪いのか判断できない、という状態からで構いません。