外注先はいる。でも、自社側で判断できない。
このページでは、外部に頼んでいるのに進まない状態について、発注者側と受注者側のあいだにある非対称を整理します。
代理店も制作会社もベンダーもいる。予算も付いている。プロジェクトも動いている。
足りていないのは、外注先ではありません。上がってきた提案や納品物を、自社側で評価し判断する力です。
該当の確認
- 代理店や制作会社から提案は上がるが、良し悪しを判断できない
- 社内の担当が少数で、外部の関係者のほうが多い
- 業務側の要望を、要件の形にできない
- 納品されたものを、何を基準に受け入れるか決まっていない
- 公開・稼働した後、誰がどう更新するかが決まっていない
詰まりの構造
この状態の根には、発注者側と受注者側の非対称があります。
三つの非対称が同時に起きています。
人数の非対称:少数で多数を統制する
社内2名に対して、外部の代理店・制作会社が10数名規模というケースがあります。
これは極端に見えて、構造としては一般的です。発注者側は常に少数で、受注者側は常に多数になります。少数側が全体を統制する仕組みがなければ、判断は追いつきません。
専門知識の非対称:評価する基準がない
外部から上がる提案は、その領域の専門用語と専門技術で書かれています。
発注者側にその経験がなければ、妥当性を評価できません。評価できないまま承認するか、根拠なく差し戻すかの二択になります。 どちらを選んでも、プロジェクトの質は外注先の裁量に委ねられます。
権限の非対称:決めることの線が引かれていない
受注者は、提示された要件に対して最適な形を設計します。
しかし、業務を変えてよいのか、標準機能に合わせるのか、追加で作るのか。これは発注者側でしか決められません。 その判断があらかじめ用意されていなければ、判断待ちが積み上がります。
同じことは要件の入口でも起きます。何が見たいか、何を実現したいかは業務部門にありますが、それを要件の形にできない。ベンダーは要件がなければ作れず、業務部門は要件を書けない。あいだが空いた状態です。
受け入れる基準と、その後の運用がない
納品されたものが妥当かを判断する基準がなければ、受け入れも差し戻しもできません。
そして、公開・稼働した後に誰がどう更新するかが決まっていなければ、引き渡された時点から陳腐化が始まります。
そのため、外注先を変えても解決しないことがある
これは外注先の能力の問題ではありません。発注者側に判断の仕組みがなければ、相手が変わっても同じ状態が再現されます。
認識の転換
外注先を変える
発注者側の判断の仕組みがなければ、同じ状態が再現される
相見積もりを取る
評価の基準がなければ、比較しても選べない
詳細な仕様書を求める
業務側で決めることが決まっていなければ、仕様は埋まらない
社内の担当を増やす
人数を足しても、判断の基準がなければ稟議が増える
必要なのは、発注者側で決めることと受注者側で決めることの線を引き、判断の基準を先に用意すること。 そして、受け入れる基準と、その後の運用ルールを決めることです。
Latentが引き受けること
発注者側に立ち、上がってきた提案を構造で評価する
業務側の要望を、受注者が作れる要件の形に翻訳する
発注者側で決めることと、受注者側で決めることの線を引く
標準機能で吸収するか/業務を変えるか/作るか の判断軸を設計する
内製・外製の比較と、調達の進め方の整理(RFI/RFPの作成)
受入の基準を定義し、テストを設計する
複数のベンダー・部署のあいだの合意形成を進める
コストと仕様のトレードオフを整理し、交渉の材料を作る
納品後の運用ルールと、更新の体制を設計する
引き受けないこと
- 制作・開発そのものは行いません。 発注者側に立つ役割であるため、同一のプロジェクトで受注者側を担うことはありません
進め方の一例
決めることの切り分け
発注者側で決めるべきことと、受注者側に委ねることを整理します。要件が固まりきっていない段階から着手できます
判断基準の設計
提案を評価する観点、標準/業務変更/開発の判定基準、受入の基準を定めます
判断と調整の推進
提案の精査、仕様を詰める場の運営、社内関係部署との合意形成を担います
受入と運用への移行
受入テストを設計・実施し、公開後の更新運用のルールまで定めます
到達する状態
- 外部の提案を、根拠を持って承認・差し戻しできる
- 業務側の要望が、要件として書かれている
- 判断の分岐(標準/業務変更/開発)が整理され、コストが制御されている
- 受入の基準があり、納品物を評価できる
- 社内の関係部署が、同じ要件を見ている
- 納品後の更新運用が回っている
社内共有のための素材
この状態を社内で共有し、どの非対称から手を付けるかを検討するための整理シートです。
- 人数の非対称:少数で多数を統制する
- 専門知識の非対称:評価する基準がない
- 権限の非対称:決めることの線が引かれていない
- 受け入れる基準と、その後の運用がない
- そのため、外注先を変えても解決しないことがある
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できる根拠
構造化する
業務側の要望を分解し、受注者が作れる要件の形にする
決められる形にする
提案の評価軸、判定の基準、受入の基準を、発注者側で持てるようにする
実行できる形にする
受入と業務移行を通し、公開後の更新運用まで設計する
壁打ちへの導線
まずは状況を整理するところから
- 課題や依頼内容、予算や開始時期がまだ決まっていなくても構いません
- 初回で行うこと:現在の状況を伺い、どこから整理するかを一緒に確認します
- どのSituationが近いか分からなくても構いません
提案は上がっているが、判断できない、という状態からで構いません。